ここでは、そもそも「コーヒーインストラクター検定」とはどういう検定なのかを改めて見ていきましょう。
当サイトをご覧いただいている方は、もしかしたらこれから検定を受験をされる方、もしくは受験を検討されている方が多いのかなと察します。
受験を検討されている方はぜひ参考にしていただければと思いますし、これから受験される方はある程度理解していると存じますが改めて理解を深めていただければと思います。
まず、検定の公式ホームページからいくつか抜粋します。
コーヒー検定とは
全日本コーヒー商工組合連合会では2003年秋にコーヒーの正しい知識の普及と技術の向上を目的として、我が国で初めてのコーヒーに関する資格認定制度を立ち上げました。そして2006年春よりさらに門戸を広げ、業界・所属企業等を問わず、一般消費者の方も含めコーヒーを愛飲されているすべての方々を対象に受講・受験の募集をさせていただくことになりました。
検定の目的
●コーヒーの正しい知識の普及と技術の向上を図ります。
●消費者が評価するコーヒーの生産と消費の促進・振興を目指します。
私なりに噛み砕くと、「コーヒーとは?」を理解するための検定だと思っています。
ホームページにもあるとおり、コーヒーの正しい知識の普及と技術の向上を目的とし、その先に消費者に向けたコーヒーの生産と消費の振興を図るものとなっています。
なので、教本の内容は全体を通して主観的な表現はほとんどなく、事実と根拠に基づいた普遍的な記載となっています。
そのため、上記にもある「技術の向上」というのは、コーヒーの淹れ方の提案やカフェバリスタとしての技術ということではなく、コーヒー抽出の原理を理解することや、実技試験の内容でもある飲み比べ・カッピング技術・焙煎豆の外観識別などのことを指します。
私自身もカフェバリスタとして働く一方で、コーヒーそのものの本質の部分を学びたいと考えていたところ「コーヒーインストラクター検定」のことを知り、受験したという経緯があります。
誰でも受験が可能ですので、カフェで働く方であれば知識やスキルの裏付けとして、コーヒー関係の企業にお勤めの方であれば更なる知識の深掘りとして、コーヒー好きの方であればより一層理解を深めて楽しんでいただける機会として、ぜひ気軽に楽しく受験してみてはいかがでしょうか。
なお、具体的な日程や受講料は変動があるため、詳しくは検定ホームページを見ていただければと思いますが、正直、受講料はそこそこかかります(笑)
恐らく講習会運営に関わる諸費用だと思われますが、もちろん受験する価値は十分あるものですので、試験の概要をしっかり理解した上で申し込みをされるほうが納得できるかもしれませんね。
各級についても、詳しく説明していきます。
(※)鑑定士は受験しておらず情報がないため除外いたします。
コーヒーインストラクター3級
3級学科講習会を受講し修了したものを「コーヒーインストラクター3級」として認定いたします。
※2級受験の必須条件ではありません。
3級について、2級を受験するための必修というわけでもなく、コーヒーを楽しむための入門編という位置付けなので、試験ではなく講習会を受講すれば3級に認定されます。
開催時期という概念もなく、事務局から委託された企業がそれぞれのタイミングで講習会を開催するという形をとっていますので、詳細はJ.C.Q.Aのホームページをご覧ください。
講義内容も各企業に一任されているようなので一概には言えませんが、私がオンラインで受講した小川珈琲さん開催の3級講習会は、主にコーヒー愛好者からの代表的な質問に答えながら深掘りしていくという内容でした。
例えば、
- ブレンドと単品の違いは?
- 抽出器具によって何が変わるの?
- カフェインは深煎りの方が多いの?
- コーヒーの保存方法は?
などなど。
3級といえど非常に充実した講義内容で、当時まだコーヒーに疎かった私もレベルが上がったような気持ちになりました。
次の2級に繋がるような内容でもあったので、もし受験を迷っている方や興味がある方がいれば、まずは気楽に楽しく講義を受けてみてはいかがでしょうか。
コーヒーインストラクター2級
目的
●コーヒーの正しい知識の普及と技術の向上を図る。
●消費者が評価するコーヒーの生産と消費の促進・振興を目指す。検定形式
●講習会及び検定試験
試験内容
●基礎的なコーヒーの知識と鑑定技術。
コーヒーの対面販売に従事する方に求められる基礎的な知識・鑑定技術。合格基準
●試験で70点以上取得した方を合格とし、合格認定料を納めていただいた後、コーヒーインストラクター2級として認定します。
試験内容の通り、「コーヒーとは?」を突き詰めた内容になります。
私なりに2級の概要は「店頭に置いてあるコーヒーのパッケージを紐解く」ものだと感じました。
教本における2級の内容をざっくりお伝えすると「商品名から理解する」「風味から理解する」「コーヒーを美味しく淹れるために」「おいしさを保つために」という内容になっています。
主にコーヒーが店頭に並ぶまでの過程を学ぶ内容になっているので、コーヒーの販売やカフェ・喫茶店で働いている方、コーヒーが好きで少し詳しい人であれば、すでにある程度は理解できるレベルかなと思っています。
産地・生産国・格付け・特定銘柄など、しっかり覚えるべきところを抑えないと合格は難しいですが、学習することで今まで漠然と理解していた知識が確固たるものになっていくことでしょう。
回答は選択式で平均合格率は約90%になっていますので、ノー勉だと厳しいですがしっかり勉強すればちゃんと合格できる試験になっています。
コーヒーインストラクター1級
目的
●(社)全日本コーヒー協会関連各社のコーヒー知識・技術の向上を図る。
●消費者が評価するコーヒーの生産と消費の促進・振興を目指す。検定形式
●講習会(学科・実技)及び検定試験(学科・実技)
試験内容
●高度で専門的なコーヒーの知識と鑑定技術。
コーヒー製造業者に求められる、プロとして必要な専門知識と鑑定技術。合格基準
●筆記、実技の2教科ともに80点以上取得した方を合格とし、合格認定料を納めていただいた後、コーヒーインストラクター1級として認定します。
試験の目的は2級と同じですが、試験内容とレベルが桁違いに変わります。
数字として分かりやすいのが、2級の合格率が約90%なのに対して、1級の合格率は約15%前後になります。つまり、2級は勉強すれば合格させてもらえる試験ですが、1級は完全に「落とす」試験です。
回答も、1級は記述式であり誤字脱字や漢字間違いも減点対象になります。項を跨ぐような応用問題が出てきたり等かなり捻くれているので、ただの暗記ではなく理解力を求められます。
2級が店頭業務に従事する方向けだとしたら、1級は製造・卸・焙煎等の特定分野のプロ向けだと思っています。もちろん、2級に合格していれば誰でも1級の受験は可能ですし、私のようにカフェバリスタなどの店頭業務の方も沢山受験されています。
*
教本における1級の筆記試験の内容ですが、
- 生豆(歴史、品種、栽培〜流通まで、成分)
- 焙煎
- 粉砕
- 包装
になります。
2級の範囲を更に深掘りして紐解いていく内容ですが、各項目それぞれがかなりのボリュームがあります。
試験も記述式で、どの部分から出題されるか全く分からず”ヤマ”が張れないので、結局は教本の端から端まで覚える必要があります。もっと言うと、教本の内容を覚えて最低限だと思ってください。
次に、実技試験の内容は以下の2つになります。
- カッピング:コーヒーの上澄みをすすって、産地や状態を回答
- 焙煎豆の外観識別:生産国および格付けの回答、ブレンド豆の配合比率の回答
実技も、かなり練習を重ねないと理解が難しいです。
問題数や範囲はそこまで広くなくて、筆記試験と違って学習内容がそのまま出題されますが、カッピングの風味が標本や練習と違っていたり、回答時間が意外と短かったりなど、覚悟しないと試験本番の空気に呑まれて終わってしまいます。
まさに私が経験者で、筆記試験は合格できたものの実技試験は為す術がありませんでしたが、今振り返ればただの準備不足で自信を持って回答ができなかっただけで、自分が理解するまでしっかり練習をすればちゃんと合格できるものになっています。
*
試験内容にもあるように、学習して見事1級に合格することで「高度で専門的なコーヒーの知識と鑑定技術」が身につき、文字通り「コーヒーのプロ」として認定されます。
私自身も1級に合格して知識・スキルを身につけたことで、カフェバリスタとしての知識の裏付けとして役に立っていますし、お客さまに自信を持ってサービスを提供できている自覚があります。
覚える内容や量がかなり膨大で、暗記して理解するまではかなり大変ですし、本当に合格できるのか不安になるかと思います。
ですが、妥協せずに自分を信じて学習した分だけ、必ず点数に結びつきます。少なくとも、私がそうでした。
合格に向けて余裕を持ったスケジューリングで、みっちりコツコツと学習を続けてみてください。
といったように、強要するわけでは全くないのですが、検定の趣旨・目的が分かったうえで学習されると、より一層理解が深まり、やりがいも出てくるのかなと思っています。
ぜひ参考にしてくださいませ。
〜fin〜