コーヒーは生豆の状態では抽出することができず、焙煎をすることで初めて独特の味や香りが生まれます。
また、前項で品種や生産国によって成分の割合が変わると書きましたが、焙煎による諸成分の化学変化によっても風味が大きく変わっていきます。
一般的には、焙煎が進み豆の色が濃くなるにつれて、酸味が減少し、苦味が増加する傾向にあります。また、香りの質にも変化が見られますが、それらには焙煎方法や業者ごとの特徴が顕著に表れます。
焙煎による成分の変化については教本p30 表2-②にまとめてあるとおりになりますが、こちらでも補足を含めていくつか説明します。
成分 | 生豆(%) | 焙煎豆(%) | 焙煎による変化 |
水分 | 10〜13 | 〜3 | 熱により減少する 焙煎により発生する |
ショ糖(砂糖) | 5〜8 | 〜3 | ほぼ消失する |
アミノ酸 | 〜2 | ー | ほぼ消失する |
クロロゲン酸 | 5〜10 | 〜5 | 焙煎度に応じて減少する |
カフェイン | 1〜2 | 1〜2 | あまり変化しない |
褐色色素 | ー | 〜20 | 焙煎により生じる |
・水分の焙煎による変化で「熱により減少する/焙煎により発生する」とあります。ざっくり言うと、焙煎の過程で熱を与えることで一度水分はほぼ消失しますが、その後再び水分が発生することで、最終的には〜3%ほどの水分が残ることになります。なので言い方を変えて「熱により一度減少するが、焙煎により再び発生する」と解釈しましょう。
・カフェインは生豆も焙煎後も成分量はあまり変化しません。いわゆる”深煎り”のほうがカフェインが多いという誤解がありますが、実は浅煎りでも深煎りでもカフェイン量に違いはないのです(品種によるカフェイン量の違いはありますが、1級の範囲になるので割愛します)。
・褐色色素は主にコーヒーの苦味を感じる成分であり、焙煎により発生します。褐色色素が発生する過程には、ショ糖(砂糖)・アミノ酸・クロロゲン酸の化学変化が大きく関係しています。つまりは、ショ糖(砂糖)・アミノ酸・クロロゲン酸の3つの成分の化学変化によって褐色色素が発生すると解釈しましょう。
といったように、本項では成分の名前とそれらが焙煎でどのように変化するか(減少する・消失する・変化しない・発生する)をしっかり覚えましょう。余裕があれば生豆と焙煎豆の成分%も覚えると確実でしょう。
〜fin〜
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