3-④(1) 浸漬(しんし)

浸漬(しんし)法とは、コーヒー粉に必要量のお湯を注ぎ一定時間接触させるだけのシンプルな方法で、市販の器具ではフレンチプレスやエアロプレスがこれに該当します。

浸漬法の味を変える要因(粉の挽き具合)(粉と湯の割合)(湯温)(時間)であり、ハンドドリップのように注ぎ方の影響を受けにくく(湯と粉の接触時間)が同じと見なせるため、比較的安定した抽出が可能であり、風味の調整も容易にできます。

注ぎ方の影響を受けにくく風味の出かたが安定するため、一度これといった抽出条件が見つかれば以降は再現がしやすく、杯数に応じても(粉と湯の割合)をそこまで大きく調整する必要もありません。

したがって、浸漬法はシンプルかつ扱いが容易な抽出方法であり、コーヒーの淹れ方に悩んでいる人にもぜひ試してもらいたい方法です。

なお、教本p35の中段にマグカップを使用した浸漬法について記載がありますが、実際の試験には出題されませんし、お店でこの方法でコーヒーが提供されることはほとんどありません。あくまで抽出の仕組みとして参考程度に読んでおくだけで問題ありません。


抽出の原理に関連した説明として、p34下に図3-④「粒度別に見た抽出時間と溶出量の関係」があります。こちらも図の詳細な数値等は覚える必要はありませんが、図から読み取れる以下の抽出の原理についてしっかり覚えましょう。

細かい粉(粒度)ほど抽出速度が大きい。特に微粉

湯の温度が高いほど抽出速度が大きい

湯の温度の効果は粒のサイズ(粒度)が大きくなるにつれて大きくなる

また、補足として、

酸味の抽出は速く、その強さは粒度や抽出条件によらず、ほぼ一定である

濃さや苦味は、抽出の条件に大きく依存した

つまるところ、酸味のコントロールは難しくて使用する原料やお湯と粉の比率で調整したほうが良いということが分かり、濃さや苦味については挽き方・時間・お湯の温度などを変えることによって質・量ともに変えることができることが分かる。

そして、浸漬法ではこれらの酸味や苦味などの調整がしやすく適度なバランスを見つけやすい方法と言えます。

普段はハンドドリップなどで淹れているコーヒー店でも、コーヒー豆の特徴や最適なレシピを検証するために浸漬法を利用することがあったり、フレンチプレスやエアロプレスを使用した浸漬法で提供するコーヒー店も多くあります。

実際に自分で抽出条件を変えて検証してみながら、それぞれの風味にどのような変化を与えるのかを感覚的に理解できるようになってみてください。

〜fin〜

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